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今平周吾“連続賞金王”のゴルフとスイング

日本人プロ

今平周吾(いまひら しゅうご)の2019年は2勝をあげ、2年連続の賞金王になりました。

 

マスターズへは2018年の日本ツアーの賞金王として招待参加でしたが残念ながら予選落ちでした。

 

今平周吾プロは国内レギュラーツアーでは2011年のプロ入り後まだ2勝です。

 

2018年は1勝で賞金王になったという、なんともつかみどころがない、不思議な選手です。

今平周吾のゴルフとスイング。

国内男子に他を威圧するような、突出して強い選手が不在であり、今平周吾プロにとっても絶対ライバルが不在の中での連続賞金王です。

 

ですが、今平周吾プロの特筆すべきは国内出場25試合のうち24試合で予選通過しております。

 

2019年、トップ10入り16回という、好不調の波が少ない安定したプレーにあります。

今平周吾のスタッツ

カテゴリー 順位
ドライビングディスタンス 28位
フェアウェーキープ率 46位
パーオン率 2位
パーキープ率 1位
平均ストローク 1位

ドライビングディスタンス28位、フェアウェーキープ率46位ながら、パーオン率2位、パーキープ率、平均ストロークともに1位という、飛距離で圧倒する派手さはありません。

 

でも玄人好みのショットメーキングでスコアを重ねる今平周吾プロのプレースタイルを支えているのは、

 

高校を中退して留学した米国IMGアカデミーでの恵まれた環境で鍛えた強靭な体幹に裏付けられた、再現性が高いスイングであるといえます。

今平周吾のゴルフとスイングの特長

今平周吾プロのスイングでまず目を引くのが全番手でクラブを短く握っていることです。

 

今平周吾プロ自身は「背が小さいからそのまま握るとライ角が合わなくなる」というのを理由にしています。

 

通常、飛距離を求める時はクラブを長く握り、方向性を重視するときは短く握ることになります。

 

すなわち短く握るとヘッドを感じやすくなり、フェースの向きやソールの抜けなどをリアルに感じ取れる効果があります。

 

今平周吾プロのパーオン率やパーセーブ率の高さもクラブを短く握る効果が出ていると思われます。

今平周吾のゴルフ。ジュニア時代

マスターズの敗因は「飛距離」と「ボールの高さ」とコメントしているようですが、はたしてその実力はどのような選手なのでしょうか。

 

今平周吾プロは1992年に埼玉県で生まれました。

 

父親の影響で9歳から始めた今平周吾のゴルフは中学時代からすでに頭角をあらわしていました。

 

2006年、2007年と「関東ジュニアゴルフ選手権」を連覇します。

 

2008年、埼玉栄高校1年時には「日本ジュニアゴルフ選手権競技(男子15歳から17歳の部)」で松山英樹に競り勝ち優勝します。

今平周吾のゴルフ。ゴルフ留学

翌年、高校を中退して米国に渡りフロリダ州にある「IMGアカデミー」に留学します。

 

ここはミシェル・ウィ、宮里美香といったゴルフ界のトッププレーヤーが在席していました。

 

プロテニスプレーヤーの錦織圭も留学して腕を磨いた、東京ドーム44個分の敷地に最新設備が整ったアスリート養成所です。

 

今平周吾プロもここで2年間にわたり「ゴルフ漬け」の生活を送り、技術を磨きました。

 

帰国後の2011年にプロに転向すると、2012年からJGTOチャレンジトーナメントを戦いの場にします。

今平周吾のゴルフ。プロ転向

2014年にはチャレンジツアーで年間2勝を挙げて賞金王になり、翌2015年のレギュラーツアー出場権を得ます。

 

レギュラーツアーの初優勝は2017年5月の「関西オープン」で初日からトップを明け渡すことなく、強い勝ち方をしました。

 

2018年もレギュラーツアーの優勝は、10月の「ブリヂストンオープン」の1勝だけでした。

 

ですが、トップ10入りが14回という安定した成績でこの年の賞金王となります。

 

この資格により2019年マスターズに「特別招待選手」として出場しました。

今平周吾のスイング。クラブを知ってドライバースイング。

出典:https://www.golfdigest-minna.jp/_ct/17132521

今平周吾プロのドライバーの飛距離は165センチと小柄ながら平均飛距離は290ヤードを記録しています。

 

そのスイングの特徴は、両足のひざ下が地面と垂直に近くなるほど両ひざを広げて構えるスタンスです。

 

左右の壁を徹底的に意識した「1軸スイング」の特徴であるといえます。

 

アドレスでは両脇を締めたきれいな三角形を作りセットアップします。

 

そして軸となる背骨をブラさないようにしながら動きを止めないように、両足で小刻みに足踏みを行い、

 

テークバックの開始とともに頭を少し右にシフトさせながら右股関節に体重をかけて腰と肩を深く捻転させていきます。

 

切り返しは左股関節への乗り替わりをきっかけとしています。

 

ダウンからインパクトにかけては左脇を少し開いて肘を曲げたまま打つことによってクラブを強く、まっすぐ動かして方向性を確保します。

 

ジョーダン・スピースと同じような、いまどきのクラブの打ち方です。

今平周吾のスイング。ドライバーショット

今平周吾プロのもう一つの特徴は、どのクラブも短めに、グリップエンド側を少し余して握ることです。

 

こうすることで、少しヘッドスピードは落ちますが、ミート率と方向性が良くなる効果があります。

 

ミート率が上がればボール初速が上がりますので結果的にクラブを長く持った場合と飛距離の差はそれほど発生しないと思われます。

 

実際にクラブを短く持って振ると、より強くボールを叩けるような気がします。あなたも真似してみたい部分だと思います。

 

どっしりと構えたアドレスからテークバックに向かい、トップオブスイングではわずかに膝を曲げて沈み込みます。

 

そのままダウンからインパクトに向かい、インパクト直前では身体が伸びあがるのではなく、膝を伸ばしながらパワーをボールに伝えていくという、「いま注目されているスイング」です。

 

しかもこの間、両ひざの高さが変わりません。

 

左肘を伸ばさずわきをわずかに空けてクラブの返り過ぎを抑えた長いインパクトゾーンを持っているため方向性も良くなります。

今平周吾のスイング。体幹の強さ。

IMGアカデミーでしっかり鍛えた体幹の強さは最終日最終ホールでも崩れないフィジカルの強さでもあり、今平周吾プロの堅実なプレーを支えています。

 

膝の沈みこみと伸ばし戻しを飛距離アップにつなげるスイングは、強い体幹があればこそ可能なスイングであり、アマチュアが真似るのは少し難しいと思います。

 

短く持ったシャフトと軸がブレないスイングとでミート率は確実に上がり、ボールのスピン量や方向性、打ち出し角度も最適化できます。

 

ブレない体軸は難しくても、クラブを短く握ることで確実なボールヒットを行い、方向性を向上させることは私たちアマチュアも取り入れたいものです。

今平周吾のスイング。使用ドライバー

使用するクラブは2017年から用具契約をしているヤマハのRMX116ドライバーです。

 

※在庫がない場合は在庫数が多いゴルフパートナーで探して下さい。

 

ヘッド体積445CCの洋ナシ形ヘッドは日本人好みの、いわゆる和顔ヘッドと呼ばれるものです。

 

フェースが左を向いているヘッドが好きじゃない、という今平周吾プロです。

 

ヤマハのRMX116ドライバーの打感と適度なスピン量、直進性の良さが気に入っていることに加えてこの開いているように見せやすいヘッド形状が気に入っているようです。

 

ヤマハの前にはタイトリストを使用していたことからも、叩けるイメージがわくヘッド形状が気に入っているようです。

今平周吾のスイング。ドライバーのシャフト

シャフトはグラファイトデザインの「ツアーAD TP」のTP-6を44.75インチで使用しています。

 

このシャフトは2016年の発売以降、プロゴルファーの間でも使用者が多く、中~元調子で全体的な挙動はマイルドながら先端剛性を高めて振り遅れを防止して、ミート率をアップさせます。

 

長尺対応でありながら、今平選手は一般的なシャフトの長さよりも短めの44.75インチにして、さらに短く持ちますので実質的には43インチ前後で振っているものと思います。

 

先端の剛性が高く、ミート率をアップさせるシャフトをさらに短く持って、徹底的にミート率アップを狙うという、今平選手の飛距離と方向性へのこだわりが感じられるセッティングです。

今平周吾のスイング。フェアウェイウッドのスイング

今平周吾プロのスイングで驚くのはアドレスからインパクト直後まで、身体の前傾角度がほとんど変わらないことです。

 

バックスイングとダウンスイングでシャフトがほとんど同じ軌道上を動いていることから生まれる、再現性の高さです。

 

このことにより、フェアウェーウッドも距離を稼ぐというよりも狙った方向にボールを置きにいく意識で打てていると思います。

 

大きな見込み違いが少ない、したがってパーオン率のよさにつながっているのだと思います。

今平周吾のスイング。アイアンショットのスイング。

アイアンショットでも、クラブを短く持つことに変わりはなく、テークバックは右の股関節に体重を乗せて始動してダウンスイングからは左股関節に乗り換えていきます。

 

この間、頭の位置はほとんど変わらず両膝の高さも揃っています。

 

左ひじを曲げて脇を空けることで、ここでもフェースの返りすぎを抑えて長いインパクトゾーンを作っています。

 

おそらくですが、今平周吾選手の意識の中ではボールを打つ、というよりもボールを運ぶという感覚の方が強いのだろうと思います。

今平周吾のスイング。使用アイアン

アイアンはヤマハRMX116 ツアーブレードアイアンを使用しています。

 

谷口徹プロ、藤田寛之プロも使用する、2000セット限定生産の小顔のキャビティバックアイアンです。

番手別にバックフェース上部の厚みを変えることによって重心高さを変えて、ロングアイアンでは低重心にして球が上がりやすいクラブです。

 

ショートアイアンでは高重心にしてラインを出しやすくするという、重心高さフロー設計を盛り込み、いわばオートマチックに弾道高さとスピン量をコントロールしやすいアイアンです。

 

アイアンショットでも、今平周吾選手は左ひじを引くような動きを見せます。

 

狙ったラインにボールを運ぶことに徹しているスイングであり、パーオン率では常に上位に位置する今平周吾選手はライン出しに長けた、ショットメーカーと言えるのではないでしょうか。

今平周吾のスイング。ウエッジでの得意なアプローチは

 

出典:https://www.golfnetwork.co.jp/news/detail/22286

今平周吾プロのスコアの生命線ともいえるのが、アプローチです。

 

本人も得意なクラブはウェッジという通り、縦横に大きな狂いが少ないアプローチショットを打ちます。

 

アプローチショットの特徴は、他のクラブと比べて右腕、右手の使い方にあります。

 

距離感は右手で、方向性は左腕と明確に役割をわけて考えているようです。

 

基本的にはふわりと浮かせるアプローチを好みますが、ライや打ちたいラインによってその都度、最適、かつ臨機応変なアプローチが打てることも強みになっています。

 

又、今平周吾プロのアプローチショットは、インパクトからフィニッシュにかけて、ヘッドを上にすくいあげるような動きが入ります。

 

アマチュアだと2度打ちしそうな状況ですが、今平周吾プロは常々「左手の甲とフェースは同じ向きで打つ」ようですので、狙ったライン、落としどころにボールを「運ぶ」意識で打っています。

 

ですので、ちょうどごみをごみ箱に投げ入れる時に、下手投げで放る、その動きがアプローチに出ているのではないかと思います。

今平周吾のスイング。使用ウエッジ

今平周吾プロはクラブ契約をヤマハに変更しても、ウェッジはボーケイを使い続けています。

 

ボーケイのSM(スピンミルド)は種類が多く、今平周吾プロが使用するSM7だけでもソールグラインドが6種類ありますので、より好みに合った1本が選べるのだと思います。

 

関連記事⇒今平周吾“賞金王”のクラブセッティング

今平周吾のスイング。パッティングスタイル

今平周吾プロはパッティングでもやはり短く握ります。

 

グリップはセットアップした時に右手が上で左手が下にくるクロスハンドグリップとよばれる握り方で、右手をしっかり、左手は添える程度に柔らかく握っています。

 

これもやはり右手のひらとフェース面をリンクさせたストロークを行い、左手はストロークの方向だけをガイドするというイメージで打っているものと思われます。

 

スタンスでは両足のつま先を内側にして、軸をブラさない、完璧な肩ストロークを行おうという意図がうかがえます。

 

パターはオデッセイストロークラボ・ブラックで、シャフトを軽量化することで余剰重量をグリップエンドにも振って重くしたことにより、カウンターバランス効果が効いて肩ストロークで打ちやすく、クラブコントロールと再現性が高まります。

 

今平周吾プロの意図と合致しているといえます。

 

パッティングで手首をこねてしまう、距離感が合わないというアマチュアゴルファーも参考にしてみると良いかと思います。

今平周吾のスイング。ヘッドスピードを上げるスイング

今平周吾プロのドライバー平均飛距離は2019年で約300ヤードです。

 

現在のトーナメントプレーヤーの中では平均的な飛距離ですが、165センチという身長からすればよく飛んでいるといえます。

 

小さな体で遠くに飛ばすには、スイングをアップライトにして、クラブに落下スピードを与えながら、ティを高くしてアッパーブローに打つことです。

 

そして、クラブを短く持ってミート率をあげることで飛距離を稼いでいます。

 

これらすべて、鍛えた体幹の強さがあって実現できるスイングになります。

今平周吾のゴルフとスイングのまとめ。

一時期フラットなスイングに取り組んだものの、合わずにまたアップライトな従来のスイングに戻した今平周吾プロです。

 

一見、飛距離には不利と思われる短く持つスイングです。

 

ですが、今平周吾プロにとってはクラブのライ角が整い、かつ振りぬきやすくなりミート率も上がるという、ブレない体幹の強さを活かして飛ばしの要素が詰まったメリットになります。

 

アマチュアにとっても短く握ることで振りぬきが良くなり、方向性が良くなるというメリットがあります。

 

多少の飛距離を犠牲にしても「平均飛距離」を上げるには、すぐに取り組める、真似したい部分です。

 

今平周吾プロは海外で戦うにはどうしても飛距離が足りないという思いからフラットなスイングに取り組んだのだと思います。

 

ですが、彼の持ち味でもあり、スコアを支えるショートゲームの感性をより研ぎ澄ませて、多様なライに対応できるショットを見せて欲しいと思います。

 

両足の脛が地面と垂直になるほど両膝を開いて、足指先でがっしりと地面を掴んでいるような安定感ある下半身から繰り出されるロングドライブ。

 

パーオン率上位のアイアンショットは2018年の優勝回数こそ1回でしたがトップ10入りが14回という今平周吾プロの安定感あるゴルフを支えています。

 

2019年のマスターズでは残念な結果となり、今平周吾プロのコメントは「高さと飛距離」が課題だと話していたようです。

 

それでもこの年2勝していますので立派だと思います。

 

しかし、過去に何人もの日本人プレーヤーが海外に挑戦し、飛距離を求めた結果、身体を壊して選手生命を短く終えた前例があります。

 

今平周吾プロには、現段階では無理して飛距離を追求せずに、ショットの精度にさらに磨きをかけながら身体に無理がかからないトレーニングを積んでいってほしいと思います。

 

ヤマハがアドバイザリースタッフの藤田寛之プロと谷口徹プロに、ヤマハゴルフの看板選手として時代を担う人材を打診したところ、期せずして2人から同時に名前が挙がったほどです。

 

若手男子の有望株の1人としてさらなる活躍と、トーナメントの盛り上がりを期待したいと思います。

 

今平周吾選手を応援しましょう。

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